国内

今年の梅雨は「災害誘発型」、気象予報士が懸念する地域は

今年の梅雨は最悪の災害誘発型(時事通信フォト)

 6月7日午前、気象庁は関東甲信と東海、北陸、東北南部の各地方が「梅雨入りしたとみられる」と発表した。これらの地方が九州北部や中国・四国、近畿よりも先に梅雨入りしたことに、違和感を覚えた人も少なくないのではないか。気象予報士の森朗さんが指摘する。

「東北南部が近畿より先に梅雨入りするのは1974年以来、45年ぶりのことです。梅雨前線は南から順に張り出していくのが普通。どこかで気象のバランスが崩れている証なので、豪雨災害などに充分な警戒が必要です」

 ここ数年、日本列島は甚大な梅雨時の豪雨災害に見舞われ続けている。昨年は6月28日から7月8日にかけて発生した「平成30年7月豪雨」により、全国各地で土砂崩れや河川の氾濫が頻発。死者224人、行方不明者8人という被害をもたらした。

 特に広島県で死者・行方不明者114人、岡山県では倉敷市真備町だけで51人が亡くなるなど、中国地方の被害が大きかった。

 森さんによれば、今年も昨年同様の、あるいはそれ以上の災害が起こる可能性があるという。

「梅雨前線が停滞して“ほどほどの雨”を降らせるのであれば、大きな災害は起こりにくい。しかし、今年の梅雨前線は降ったり晴れたりを繰り返し、降る時には大量に雨を降らせる“災害誘発型”の梅雨前線の可能性が高いのです」(森さん)

 その大きな原因は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米海岸にかけて海面水温が平年より高くなる「エルニーニョ現象」と、地球の「温暖化」だ。

「太平洋高気圧は海面温度と関連が深いのですが、エルニーニョが起きると海面水温の高いところが東西に分散し、太平洋高気圧が安定しません。そのため梅雨前線が東で強まったり西で強まったり、北に広がったりと、雨の降り方が不安定になる。しかも近年の温暖化によって雨のもとになる空気中の水蒸気が増えており、それがたまりにたまってから一気にどっさり日本列島に降ることになる」(森さん)

 大気は気温が高いほど水蒸気を多く含むため、豪雨災害は気温が高くなる「梅雨末期に起こりやすい」というのが従来の常識。だが、今年は梅雨入り直後から気温が高い日が続いており、すでに梅雨末期状態に近い。今から豪雨への備えが必要だという。

 では、全国でも特に注意すべき地域はどこなのか。

「今年の梅雨前線を見ても、やはり西日本の広い範囲で豪雨になりやすい。しかし、今年は不安定さが際立っているので、関東や東北、あるいは“梅雨がない”といわれてきた北海道でも、局地的な豪雨に見舞われるかもしれません」(森さん)

 日本中、どこにも“安全な場所”はない。“最悪のゲリラ豪雨”を想定して、今から万全の備えをしておきたい。

※女性セブン2019年6月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン