5月30日に放映されたNHK「クローズアップ現代」では、タワマンの大規模修繕工事には多額の費用がかかることを不安視していた。拙著でも詳しく指摘したが、タワマンは建築構造上15年に1度程度の割合で、外壁の修繕工事を行う必要がある。それをしなければ雨漏りが多発する可能性があるのだ。

 ところがタワマンの第1回目の大規模修繕工事には1住戸あたり約200万円の費用がかかる。第2回目では、推定で300万円程度必要だろう。「推定」というのは、2回目の大規模修繕工事を行った事例を私は知らないからだ。

 つまり、タワマンという建築構造物について我々日本人は、壮大なスケールで耐久実験をしているようなものなのだ。それを区分所有という形態で何十年も維持して住み続けることができるのか──今以てよく分からないし、不安は膨らむばかりだ。

 タワマンを「売れるから」という理由だけで闇雲に作り続けてよいものか。このあたりで立ち止まって熟考すべきではないだろうか。

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