──1995年に「星野リゾート」に社名変更。2000年代からは日本各地の温泉旅館やホテルを再生していきます。現在では高級リゾート「星のや」、温泉旅館「界」など多様なブランドを展開。施設運営の取扱高、社員数も急拡大を続けています。成功の理由は?
星野:地域それぞれの特徴や個性を経営に活かしていくことが重要だと考えています。それにはまず、その地域をよく知る必要がある。
かつては世界のどの都市でもアメリカと同じサービスが受けられるという「西洋ホテルのスタンダード」が宿泊施設の最大の価値でした。
しかし世界が標準化し、その価値は以前ほど高くなくなった。いま求められているのは、その場所でしか手に入らない体験であり、サービスです。
これまで手がけてきた施設は、どれもその価値観を重視してきました。たとえば2016年に東京・大手町で開業した「星のや東京」は、天然温泉や越前和紙の壁など、東京の真ん中で日本の美と伝統に触れられる。周辺に西洋風の高級ホテルが建ち並ぶ場所だからこそ日本旅館のメソッドが世界に通用する商品になるわけです。