6月24日には、芸人の陣内智則も以下のツイートをしていた。
〈もちろん己の身から出た錆。影響力のある立場として反省を。賛否はあると思いますが吉本の決断は厳しく正しいものだと思います!ただ、十分に反省した上でいつか謹慎が解けた際には、お笑い芸人として復帰が出来る環境をマスコミ各位、世間の皆さんが温かく迎えてもらえる時代である事を願います!〉
ん?「吉本の決断は厳しく正しいもの」?
仲介役の入江慎也は吉本興業との契約解除、事実上の解雇となったので、そう言える。が、他の面々について吉本は、<本日をもって、当面の間、活動を停止し、謹慎処分とする旨を決定>したというだけだ。「当面の間」がいつまでかわからない、あいまいな謹慎処分。世間の空気を読みながら、落ち着いたころに復帰させようという腹なのだろうが、それを「厳しく正しい」と評価するのはちょっとズレていないか。
そして、〈十分に反省した上でいつか謹慎が解けた際には、お笑い芸人として復帰が出来る環境をマスコミ各位、世間の皆さんが温かく迎えてもらえる時代である事を願います!〉という言葉。
似たようなことを言う芸人や芸能関係者は少なくないのだけれども、「十分に反省した」かどうかは世間一般にはわからないし、「温かく迎えてもらえる時代」って何のことだ?
いや、今回の騒動の裏キーワードに、この「時代」という言葉があるとも思うのだ。ワイドショーをハシゴしていろいろ見ても、「今の時代だから、しっかり反省しないといけないんですよ」といった発言がかなり目立った。いつの時代でも公的な立場にある人間が反社会的勢力といい仲になることはダメだと思うのだが、どういう意味合いでこの言い方をするのか。
端的に言って、SNSなどが発達、問題があるとすぐに炎上し、燃やされたほうに実害が出るような時代、を意味しているのだと思う。裏社会と芸能社会に連続性があり、それはそれとして黙認されていた古き良き時代とは違う時代、という意味もあるだろうが、それよりも芸能関係者は「ネットの反応」を非常に気にしている。まるで被害者のように。
だったら、あとで容易にバレるようなウソをペロッとつくな、と言いたくなるが、そもそも芸能界VSネット界みたいな対立図式がおかしい。例をあげるまでもなく、SNSを駆使し知名度をあげている芸能人は山ほどいるし、ブログなりユーチューブなりを使ってバカにならない収益を挙げている芸能人も少なくない。なのに、何を今さら、対立図式を意識して、「今の時代だから」とネット時代のせいみたいな含みのある言い方をするのか。そりゃ、炎上となれば、大量の罵詈雑言や誹謗中傷がネット上に飛び交うだろうが、その発信者らがノイジーマイノリティーであることはもはや常識のはず。おかしな攻撃はスルーしていればいいのであり、わざわざ敵視する感覚はズレている。