結婚60年の祝賀行事を終えた天皇皇后両陛下(当時、写真/時事通信フォト)
「趣味のテニスを長年続けてこられたのは、副作用である骨密度や筋力の低下を防ぐ目的もあったのでしょう。今やがんは治る時代ですし、治療をしながらでも働くことはできます。とはいえ、あれだけの数のご公務を務められるのは、大変なことだと思います。骨密度の低下を防ぐため、陛下が自主的に体を鍛えていらしたからこそ、可能だったのだと思います」(垣添さん)
骨密度を保つために運動と同じくらい重要な食生活においては、美智子さまが尽くしてこられたという。皇室ジャーナリストの神田秀一さんはこう話す。
「美智子さまは、侍医と相談されて食事の献立を作り、宮内庁の料理人に伝えていらっしゃいました。たとえば、骨粗しょう症の予防にはカルシウムが必要なので、小魚や乳製品をたくさん食事に取り入れた方がいい、といったふうに細かく、具体的に指示されていたそうです」
二人三脚で闘病を続けた結果、15年以上経った現在もがんが再発することはなく、在位中は地方行事や被災地訪問、戦争犠牲者への慰霊の旅など、精力的に各地に足を運ばれてきた。お年を召されてからは、ご夫妻で支え合うように寄り添われる姿も、頻繁に報道されている。
「がんの治療を終えられてから、美智子さまと寄り添って歩かれる姿を目にする機会が増えたように思います。ご成婚から60年の上皇上皇后両陛下ですから、夫婦愛があるのはもちろんのこと、美智子さまは骨粗しょう症リスクを持っていらっしゃる上皇陛下にとって、何よりも恐ろしいのが骨折をすることだとご存じで、より意識的に陛下に寄り添うようになられたのだと思います」(宮内庁関係者)
現代は、2人に1人ががんにかかるといわれている。がんであることを受け入れ、力を尽くして治療に当たられた上皇陛下のお姿は、「がんと生きる」令和の象徴といえるのではないか──。
※女性セブン2019年7月18日号