鈴木:周囲の騒音が大きくて気づかれなかったりすると、もう1回撃ち込みに行ったりすることもあります。
溝口:新聞で見出しにならないと、やった意味がないからね。
鈴木:売名に利用されるから、最近では新聞は暴力団の二次団体以下の名称は書かないようになっています。「山口組『系』の組員が撃った」としか書かない。
溝口:マスコミも警察発表しか書かないしね。
鈴木:いまやヤクザそのものではなく、その裏世界の人間と芸能人やスポーツ選手や政治家が接点をもってしまったことがニュースになるように変質してしまった。接触した有名人のほうにスポットが当たるようになっている。
溝口:もはやヤクザそのものへの興味がなくなったのかもしれません。
鈴木:最近では俺のところに、ヤクザが敵対するヤクザと芸能人が写っている写真を売り込んでくるんです。そのヤクザを貶めるために。ヤクザがヤクザとの写真を問題だって言うんだから、本末転倒ですよ(苦笑)。
●みぞぐち・あつし/1942年東京浅草生まれ。早稲田大学政経学部卒。『食肉の帝王』で講談社ノンフィクション賞を受賞。『暴力団』など著書多数。近著は『さらば!サラリーマン』。
●すずき・ともひこ/1966年北海道札幌生まれ。『実話時代』の編集を経てフリーへ。『潜入ルポ ヤクザの修羅場』など著書多数。近著に『サカナとヤクザ』、『昭和のヤバいヤクザ』。
※週刊ポスト2019年7月19・26日号