なぜなら大正から昭和の初期に、「オール国産」という意気込みで造った建物。どこを見ても当時、手作りした「逸品」だらけよ。まず天井を見て。まあ、電灯の傘のかわいいこと! 足元の「国会の赤絨毯」もふっかふか。
そんな中で、3つだけ国内で作れなかったものがあって、その1つが国会議事堂特有の郵便ポスト。
それと、鍵はアメリカ製。各部屋の鍵とは別に、1つの鍵ですべての部屋が開くマスターキーが、当時の日本にはなかったんだって。
あとステンドグラスの原料はイギリスからの輸入だそう。
◆陛下がお休みになる「御休所」と中央広場が議事堂の中心点
国会の開会式には天皇陛下がお出ましになるのが、わが国のしきたり。陛下は2階にあたる中央玄関からお入りになって中央広間を通り、中央階段を上られて、3階の「御休所」と呼ばれるお部屋に向かわれる。
御休所は、議事堂を造る予算の10分の1をかけたそうな。ここがガラス越しに、一般公開されている。天井から鳳凰の舞い飛ぶ壁、柱、扉、緞通(だんつう)と呼ばれる敷物。どれひとつとっても豪華だけでは片づけられない、当時の伝統工芸の職人たちの心意気が伝わってくる。
御休所前広間は、全国の37種類の大理石で造られている。また、御休所の壁は、その中の徳島県阿瀬比町産出の時鳥という大理石の一枚岩からできている。
撮影/森浩司
※女性セブン2019年8月1日号