日本が世界の強豪に勝利する姿を目にして「ラグビーおもしろいかも」と思った人が、次のアクションを起こすのに必要な環境が整備できていない──それがブレークしきれない理由であるなら、裏返せばそれは今後の人気拡大策、普及策への課題であるといえる。

 観る人、プレーする人を増やす施策は当然、日本のラグビー界全体を統括する日本ラグビーフットボール協会でも考えられている。協会では今年4~5月に未就学児、小中学生を対象とした「全国一斉ラグビー体験会」を実施した。これはW杯閉幕後の11月にも予定されている。各カテゴリーの試合のプロモーションをSNSなどあらゆる媒体を活用して行い、観戦者拡大に努めてもいる。

「観る人、プレーする人、どっちが先ということではなく、全方位的に施策を打ち出していくことが必要。プレーする人が増えてレベルが上がれば、観る人も増える。観る人が増えれば、選手のモチベーションも上がってさらに競技レベルが上がるという好循環になっていく。2015年の反省を踏まえて、今あらゆる面で環境整備が進められているはずです。そこに勢いをつけるためにも、まず今回のW杯で日本代表が結果を残すことがとても重要です」(大西さん)

 確かに、その競技を代表する日本選手が活躍することは、人気拡大の重要なファクターだ。かつてマイナー競技と言われていた卓球やバドミントンは、世界一を狙える選手が出てきたことで格段に報道量が増え、それが競技者の増加にもつながっているという。

 今回、ラグビー日本代表が地元開催のW杯で大きな結果を残すことができれば、観戦者の拡大・プレーヤーの増加が起こり、それがさらなる「新参者」を呼び込むことにつながり、好循環が描ける。今後のラグビーの人気の浮沈がかかる日本代表の使命は、とてつもなく大きい。

 今回のW杯では試合会場とは別に「ファンゾーン」が設置され、パブリックビューイングが開催されるなどお祭り気分が味わえる。現在、全国18か所でファンゾーンができることが決まっている。これ以外にも各自治体からパブリックビューイング開催などの告知が増えてくるはずなので、近くのイベント会場を検索してみてはいかがだろう。

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