そういった苦境に追い打ちをかける日本に対して、文在寅政権はWTO(世界貿易機関)への提訴といった「報復措置」をチラつかせる。だが武藤氏は、「報復は不可能です」と指摘する。
「そもそも今回の3品目のように、日本の産業を止められるような韓国産の製品が見当たりません。半導体の日本向け輸出を止めるとしても、韓国の半導体の輸出先は中国が8割で日本は1割しかないうえ、台湾などで代替品を調達できます。数少ない手段は関税引き上げでしょうが、この禁じ手を強行して日本からの輸入が減ったとしても、韓国内の物価が上がって消費が落ちる。結局、自分の首を絞めることになります」
しかしここに来ても文在寅大統領は事態の深刻さを理解していないようだ。
「現状の打開を図るため7月12~13日に東京で行なわれた日韓の実務者協議で、韓国側から来日した出席者のひとりは貿易について素人でした。文在寅政権からは、問題解決への真摯な姿勢が見えません」(官邸スタッフ)
日本経済に大きな被害を与えるという文大統領の警告は的を射ていたのか。その答えはすでに明らかだ。
※週刊ポスト2019年8月2日号