ただし、WHOのガイドラインでは、サプリメント(ビタミンB、ビタミンE、多価不飽和脂肪酸、マルチサプリメント)は、認知症の予防の観点から推奨されないと明言している。あくまでも食事からバランスよく摂ることが前提のようだ。
ついでに、「脳活」として3つの生活習慣もおすすめしたい。
A:朝の日光浴
朝、太陽に当たることで分泌されたセロトニンは、夕方、睡眠を誘発するメラトニンの材料に変化する。よい睡眠は、海馬から大脳皮質へ記憶を固着させる。
B:しっかりと口腔ケア
歯周病菌は慢性炎症を起こし、動脈硬化や認知症をひき起こすといわれている。いつまでも自分の口から食べられるように、口の中をきれいにすると同時に、カラオケをしたり、おしゃべりをしたりして、口を動かすことが大事。口腔フレイルを予防することで、認知症予防につながる。
C:運動プラス計算
ウォーキングをしながら、足し算や引き算をする。同時に二つのことをするコグニサイズは、認知症予防にいいといわれている。認知症予備軍といわれる軽度認知障害(MCI)が、コグニサイズによって40%改善したというデータもある。
認知症になっても幸せに生きることはできる。だが、認知症にならないように備えておくことは大切である。認知症に備える生き方やマネープランには、人生100年時代を生き抜くコツが詰まっているのだから。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。
※週刊ポスト2019年8月2日号