「おかしなルールを正したい」と語るジェーン・スーさん
中野:「女性が輝く社会を」なんてスローガンを掲げていますけど、子を産んで育てて、仕事もして、男のサポートもして、何なら介護もしてとか、それで自分の健康も自分で面倒を見ろ……というのは、さすがに無理があるでしょう。
以前、ある講演会にゲストとして招かれたときに、びっくりしたことがありました。楽屋でアテンドしてくださった男性が、「こんなにご活躍されて、ご主人は本当にかわいそうですね」って面と向かって私におっしゃって。
スー:うわー!
中野:
中野:そうおっしゃるならなぜ私を呼んだのかしら?って疑問がまず沸きますよね。まあ彼にはもしかしたら決める権限がなかったのかもしれませんが。ただ、面白かったのでその後の講演会で「こんなことを言う方が男性にはいらっしゃるわけですが」と話のネタにしちゃいましたけど(笑い)。男の価値だって別に世間的な評価や地位やお金だけじゃないのになぁ。
スー:夫より妻のほうが有名だったり稼いでたりすると、それだけで口さがなく言われる風潮がありますよね。と同時に、女が社会的地位の高い男との結婚を希望すると“上方婚”と揶揄される。八方塞がりですよね。
今までの日本で女性が上方婚を望むことは、現状の社会システムを考えると仕方なかったかなとも思いますよ。だって親に言われたとおり、社会に求められるとおりに従順に生きてよき妻・母になって家族をサポートすることと、家族を養えるほどの収入を得るようになることは、どうしたって相反するものだから。でも、男性だってもう昔のようには稼げない現実があるわけです。社会規範と現実が乖離してるんですよね。
◆男たちから何かを奪いたいわけじゃない
スー:今回の『女に生まれてモヤってる!』に限っては、男性には申し訳ないですが、女の話だけに焦点を絞って書いています。なぜかというと「目を覚まそうよ、私たち!」と女性たち、我々自身に訴えるのがまず先だと思ったので。
「男をぶった斬ってください!」みたいな依頼が、我々のところには実は結構来るんですよ。でも、そんな「女vs男」みたいな構図にはまったくしたくない。
中野:「男を斬る!」みたいな論点は、聞き手にとって痛快ではあるのでしょうが、あまり前向きではないですよね。単なる愚痴になっちゃうしね。
スー:おかしなルールを正したいだけなんです。ルールを是正することによって、男の人が持っている荷物も絶対に軽くなるはずなんですよ。
◆「男に生まれてモヤってる!」と声に出してほしい