中野:男の人たちだって結構虐げられていますからね。人生、超ハードモードですよ。ぼーっと仕事をしていたら給料が下がっていく時代ですからね。
スー:私たちの親世代のように、年功序列でどんどん賃金が上がっていった時代はもう来ないですからね。少ない収入で一家の大黒柱になって家族を養おうと思ったら、相当きつい思いをしなきゃいけない。
中野:全ての男性が仕事に全力で生きたいわけではないのにね。「そこそこの稼ぎで一日中ギターを弾いていたい」男性だってたくさんいるでしょう。スナフキンみたいに生きたいとか。
スー:「そんなにハードには働きたくない」と思う人の比率に男女差はないと思うんですよ。ただ、現状においては圧倒的に女のほうが稼げないのが問題なわけで。でもいずれ女が男と同じくらい稼げるようになれば、家でギター弾いて幸せに暮らせる男性の数だって増えるはずなんです。
今の社会で得をしているのはごく一部の層だけです。男だから、というだけで得を取れる時代ではなくなってきている。
だからこそ、男の人にも自分たちが「男に生まれてモヤっている!」ことをどんどん声に出してほしいですね。自分らしくあろうとすると規定の女らしさから離れていく女もいるように、男も「自分らしくあろうとすると、リーダーシップや統率力といった“男らしさ”から離れていく」ことに対するモヤモヤした気持ちを抱えているんじゃないでしょうか。
文/阿部花恵 撮影/矢口和也