中野:私は「男女平等」という言葉が女と男の齟齬の始まりだったのかも、と思っています。仕事における男女平等って、男がこれまでしてきたのと同等に女も働け、という意味で使われてしまうでしょう。
確かに、できることなら平等に働きたいんですよ。でも妊娠・出産・育児期間においては女性側のみに負荷がかかるのも事実。それは哺乳類のメスである限り避けられないんです。そのバイオロジー(生物学)の観点を無視して同等に働け」「それができないのは女の怠慢だ」というのは、やっぱり無理があるでしょう。女性側の自己責任ではない。仕組みの責任です。
スー:男が悪い、女が悪いって話とも違いますよね。「男は敵だ」なんてことは言ってない。そうじゃなくて社会システム自体が間違っているから、これからどうやっていきましょうか、という話をしたいんです。
中野:残念ながら、男主導の今のシステムの中で、女が無理して頑張ってしまうこと自体が逆効果なのかもしれません。「じゃあ、あなたの自助努力でなんとかしてね」となってしまうから。
過去最低を更新し続けるジェンダーギャップ指数だって、日本はもう上げる気がないんだとさえ思ってしまいますよ。あんなところで順位を上げても自分の得にはならない、と思っている人が裁量権を取るとか多数派を占めたりとかしているうちは、上がる要素がどこにもない。
スー:2018年は149か国中で110位ですからね。完全に赤点組。あれって経済・教育・保健・政治の4分野のデータをもとに男女間の格差を分析しているそうなんですが、日本は健康と教育に関してはそう悪くないんですよ。ただし、経済と政治分野のジェンダーギャップが、どちらも著しく低い。特に政治分野では125位ですから。
◆女が活躍すると、ご主人がかわいそう?