「萩本さんの奥さん役だった真屋順子さんは、山口百恵さんの赤いシリーズ『赤い絆』で意地悪な女性を演じていました。新劇出身で、お笑いのことなどまったくわからない女優さんでしたが、『だからおもしろいんだよ』という萩本さんの鶴のひと声で出演が決まりました」(皇氏)
「萩本さんの茶の間の空気を読む力はずば抜けていた」と皇氏は語る。当時、お笑いのことがわかるテレビマンは皆無で、誰もが萩本から多くを学んだという。
「私たちテレビマンが不思議に思うことは、番組が終わって以降、萩本さんの姿をテレビで見かけることが少なくなったこと。とても寂しく感じています。テレビ界にたくさんの財産を残してくれた恩人ですから、ああいう人こそ、国は表彰すべきではないでしょうか」(皇氏)
●取材・文/戸田梨恵、小野雅彦
※週刊ポスト2019年8月16・23日号