5年生存率はIII期でも76.5%あるが、倉持医師は「II期以降は大きな手術が必要になるので早期発見・治療が重要」と指摘する。
「大腸がんはI期の場合、侵襲性の低い内視鏡や腹腔鏡で治療できますが、II期以降になると、開腹手術に抗がん剤や放射線を組み合わせた治療が選択されることが多くなる。とくに肛門の近くにできたがんの場合や、手術で切除した腸管をつなぎ合わせられない場合は、人工肛門を作る可能性が高くなるので、QOLの低下を考慮して、早期発見が大切になります。
検診の便潜血検査で満足せず、とくに罹患率が急増する45歳以降は、5年に1度は大腸内視鏡検査を受けてほしい」
重要なのは、「切らない道」を模索することだ。
「とくに外科医は『がん治療の根幹は切除』との信念があり、患者に手術を勧めることが多い。しかし、部位やステージによっては、切らないことが得策の場合もある。医師から手術を勧められたら、“切るリスク”やほかの治療法について、患者から尋ねなければいけません」(室井氏)
※週刊ポスト2019年8月30日号