そもそも、ファミマがドンキと関係を結んだのは2年前に遡る。2017年8月、ユニー・ファミリーマートホールディングス(以下、ユニーファミマと略)はドンキホーテホールディングス(以下、ドンキと略)と資本業務提携を結んだ。

 同年11月、ドンキが総合スーパー(GMS)のユニーに40%出資、ユニーを持ち分法適用会社にした。その後、2018年10月、ユニーファミマが保有するユニーの全株を取得すると発表。残りの60%も引き受け、完全子会社となる。

 一方、ユニーファミマはTOB(株式公開買い付け)で、ドンキ株を最大20.17%買い付け、持ち分法適用会社にするという内容だった。しかし、ドンキの株価が上がりすぎて、TOBは失敗。仕切り直しとなった。

 ドンキがユニーを買収する見返りに、ドンキがユニーファミマ(もっといえば伊藤忠商事)の傘下に入るというM&A(合併・買収)のスキームはドンキが提案したものだったが、この提案はユニーファミマにとって渡りに船だった。

 親会社の伊藤忠商事の岡藤正広社長(当時、現会長兼CEO)は不振が続くGMSを切り離したがっていたからだ。ドンキにユニーを売却して再建を委ね、ユニーファミマはドンキの株式を最大20.17%握ることで合意した。

ドン・キホーテ創業者の安田隆夫氏(時事通信フォト)

ドン・キホーテ創業者の安田隆夫氏(時事通信フォト)

 じつは、この買収劇には仕掛け人がいた。交渉で中心的な役割を担ったのは、代表権もなく取締役でもない「創業会長兼最高顧問」という肩書きのドンキ創業者、安田隆夫氏だった。交渉関係者は「ユニーファミマの高柳浩二社長(当時、現会長)と安田隆夫氏の対話なくして、このディールは実現しなかった」と述べる。

 事業会社ドン・キホーテを傘下に持つ持ち株会社、ドンキホーテホールディングスは2019年2月1日、社名を「環太平洋」の意味を込めた「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)」に変更した。併せて、創業会長兼最高顧問の安田隆夫氏が非常勤取締役に返り咲くことを決めた。

 安田氏は国内事業から引退後、ドンキの海外展開を指揮していた。シンガポールに本社を置くドンキの海外事業持ち株会社PPIHのトップに就いていたが、ユニーの完全子会社化と同時に、東南アジアなど海外展開を強力に進めたい狙いもあり、ドンキ本体をPPIHに社名変更。そして、安田氏はドンキ本体に復帰したという経緯だ。

 PPIHは2017年12月、シンガポールで旗艦店「DONDON DONKI(ドンドンドンキ)」をオープン。安田氏は無名だったドンキの名をシンガポールに轟かせるための手段として、「焼き芋」も採用したところ、長蛇の列ができるほど大人気となった。

 安田氏が伊藤忠・ファミマ連合と手を組んだ最大の狙いは、海外展開での伊藤忠のサポートである。海外展開のノウハウは総合商社が豊富。そこで、伊藤忠のネットワークを生かしながら、海外事業拡大を図りたい考えだ。小売業界では「ドンキが伊藤忠を取り込んだ」といった、うがった見方さえ流布している。

 伊藤忠にも台所事情があった。「ドンキを他にとられたくなかった。楽天や三菱商事などもドンキに強い関心を示していたが、先にドンキを取り込んでホッとしていた」(大手流通企業のトップ)という。

関連記事

トピックス

レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
《訃報》「生きづらさ感じる人に寄り添う」遠野なぎこさんが逝去、フリー転向で語っていた“病のリアルを伝えたい”真摯な思い
NEWSポストセブン
なぜ蓮舫氏は東京から再出馬しなかったのか
蓮舫氏の参院選「比例」出馬の背景に“女の戦い”か 東京選挙区・立民の塩村文夏氏は「お世話になっている。蓮舫さんに返ってきてほしい」
NEWSポストセブン
泉房穂氏(左)が「潜水艦作戦」をするのは立花孝志候補を避けるため?
参院選・泉房穂氏が異例の「潜水艦作戦」 NHK党・立花孝志氏の批判かわす狙い? 陣営スタッフは「違います」と回答「予定は事務所も完全に把握していない」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《真美子さんの艶やかな黒髪》レッドカーペット直前にヘアサロンで見せていた「モデルとしての表情」鏡を真剣に見つめて…【大谷翔平と手を繋いで登壇】
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と浜辺美波のアツアツデート現場》「安く見積もっても5万円」「食べログ予約もできる」高級鉄板焼き屋で“丸ごと貸し切りディナー”
NEWSポストセブン
誕生日を迎えた大谷翔平と子連れ観戦する真美子夫人(写真左/AFLO、写真右/時事通信フォト)
《家族の応援が何よりのプレゼント》大谷翔平のバースデー登板を真美子夫人が子連れ観戦、試合後は即帰宅せず球場で家族水入らずの時間を満喫
女性セブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と全身黒のリンクコーデデート》浜辺美波、プライベートで見せていた“ダル着私服のギャップ”「2万7500円のジャージ風ジャケット、足元はリカバリーサンダル」
NEWSポストセブン
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落の原因は》「なぜスイッチをオフにした?」調査報告書で明かされた事故直前の“パイロットの会話”と機長が抱えていた“精神衛生上の問題”【260名が死亡】
NEWSポストセブン
亡くなった三浦春馬さんと「みたままつり」の提灯
《三浦春馬が今年も靖国に》『永遠の0』から続く縁…“春友”が灯す数多くの提灯と広がる思い「生きた証を風化させない」
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《タクシーで自宅マンションへ》永瀬廉と浜辺美波“ノーマスク”で見えた信頼感「追いかけたい」「知性を感じたい」…合致する恋愛観
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《産後とは思えない》真美子さん「背中がざっくり開いたドレスの着こなし」は努力の賜物…目撃されていた「白パーカー私服での外出姿」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン