また、(5)の次に認知症発症リスクが高かったのは(3)「高血圧→高血圧」パターンだった。この結果からは、「中年期の高血圧」のリスクが大きいことも読み取れる。前出・小林医師が指摘する。
「中年期に血圧が高い状態が続くと、100ミクロンレベルの小さな血管に動脈硬化が生じて、小規模な脳梗塞や脳出血が発生しやすい。こうした状態が長年続くと多発性脳梗塞を発症してしまう。その範囲が広がると、脳血管性認知症のリスクが高まります」
高血圧で生じる小規模な脳梗塞には特徴があるという。
「大きな血管が詰まって起こる脳梗塞は言葉が出てこなかったり片麻痺になるなど明らかな初期症状がありますが、小さな血管で起こる脳梗塞は手や口の痺れや呂律が回らない程度の軽い症状が多く、まったく自覚症状がない“隠れ脳梗塞”も多く見られます。こうした中年期の高血圧を放置すると、高年期の認知症リスクが増します」
同調査には、5パターンの血圧変動に沿って「糖尿病」「冠動脈心疾患」「心不全」のリスクがどう変化するかの分析もある。興味深いことに、3つの疾患の発症割合が最も高いのは、いずれも認知症と同様の(5)「高血圧→低血圧」パターンだった。
例えば「糖尿病」の発症割合をみると、(5)「高血圧→低血圧」(389人)で44.2%(172人)だったのに対し、(3)「高血圧→高血圧」(1030人)では38.5%(396人)、(2)「正常→高血圧」および(4)「正常→低血圧」はともに25.7%という結果だった。
◆「いつ下げるか」が重要