実際、15日の『ノーサイド・ゲーム』最終話を見た視聴者の「感動した。金曜からはじまるワールドカップは絶対見る」という書き込みに多くの「いいね!」が押されたように、イメージアップの効果は上々。
ネット上には、「視聴者にとってどうでもいい視聴率で争うより、こういう面白いコラボをもっとすればいいのに」「スポーツだけでなくバラエティや音楽番組でもやってほしい」などの声も見られました。
ただ、まだ多くのスポーツ中継でテレビ局同士の連携が見られるわけではありません。事実、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」(日本テレビ系)と「ワールドカップバレーボール2019」(フジテレビ系)の日本代表戦生中継が10月5日と13日の夜に重なってしまいますが、今のところ両局の連携は発表されていないのです。
各競技の日程上、放送が重なってしまうのは仕方がないとしても、テレビ局同士がバチバチの視聴率バトルをしても視聴者はしらけてしまうだけ。「ラグビーもバレーも、秋の夜はテレビで日本代表を応援しよう!」という連携を見せるほうが時流に合うでしょう。
私の知る限り、各局のテレビマンたちは、「見たいときに見たいものを見たい場所で見られる」ネットコンテンツに使い勝手の点で大きく劣っていることを認めています。だからこそスポーツ中継に限らず、さまざまなジャンルの番組でテレビへの興味関心を上げるために、各局の連携はますます盛んになっていくのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。