民法の規定では「委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる」とされています。依頼したばかりで、あまり実際にした仕事が少なければ、たいした額にはなりません。
しかし、注意すべきは委任契約の条項です。そこには委任を一方的に終了させた場合に対応する定めがあると思いますので、それに従った応対が求められます。
また、こうした定めがなくとも、話がまとまった段階で解任する場合には、弁護士報酬を値切るための解任と疑われ、代理人の業務による事件解決という報酬請求の条件の成就を妨害したものとされ、報酬全額をみなし報酬として請求される可能性もあります。
【プロフィール】竹下正己●1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年10月11日号