国内

台風19号 4600人死亡の「伊勢湾台風」との類似点

急激に拡大し日本列島に接近中の台風19号(提供:NASA /The New York Times/Redux/アフロ)

 過去最大クラスの台風19号が日本列島に接近するなか、政府やメディアを通じて事前にできる対策や避難の心得が繰り返し報じられている。古今東西の災害の歴史にも詳しい歴史作家の島崎晋氏は、ちょうど60年前に甚大な被害をもたらした「伊勢湾台風」の被害との類似点を指摘する。

 * * *
 この週末(12~13日)、再び巨大台風が上陸して、広範囲に大きな被害をもたらす恐れがある。先月、千葉県などを襲った台風15号を上回る恐れもあるというから警戒しなければならない。気象庁は「自分や大切な人の命を守るため、早めの対策を」と呼び掛けているが、上陸予想3日前に記者会見を開くのは異例なこと。それくらい今回の台風19号は特別ということである。

 台風による被害といえば暴風、高潮、波浪、河川の氾濫、洪水、土砂崩れなどがある。台風19号の進路や暴風雨の予想などは気象庁の発表をはじめ信頼できるニュースで常に最新情報を確認し万全な備えをしていただきたいが、災害の歴史を振り返ると、今回の台風19号と伊勢湾台風には、いくつかの共通点があるのが気になる。発生時の中心気圧や中心部分の最大風速は若干及ばないまでも、それに近い数値を記録している。発生から短時間で急速に発達した点や、「スーパー台風」であること、進路、高潮被害が懸念されていることなどが似ている。

 伊勢湾台風が日本列島を襲ったのは昭和34(1959)年9月26日から翌日にかけて。21日にマリアナ諸島沖で発生した台風15号が猛烈な勢いで発達し、非常に広い暴風域を伴いながらあまり衰えることなく北上。26日午後6時頃に和歌山県潮岬に上陸したのち、富山市の東から日本海に沿って北陸、東北地方を縦断して太平洋に抜け出た。

 直撃を食らった紀伊半島沿岸一帯と伊勢湾沿岸では高潮と強風、河川の氾濫による被害が甚大で、愛知県南西部・渥美半島の伊良湖では最大瞬間風速が1秒間に55.3メートルを記録。愛知県だけで死者・行方不明者3300人以上に及ぶ大惨事となった。

 全国の被害は、死者4697人、行方不明者401人、負傷者3万8921人、住家全壊4万838棟、半壊11万3052棟、床上浸水15万7858棟、床下浸水20万5753棟という甚大なものだった。気象庁によると、観測史上最大のこの台風は、九州から北海道までの全国で最大風速が1秒間に20メートル以上、最大瞬間風速が30メートル以上を記録したという。

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン