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2019.10.14 07:00  週刊ポスト

日本はポピュリズムに陥らず世界に連携呼びかける先達になれ

イエメンで撮影されたドローン(写真/AFP=時事)

 典型はフランスのエマニュエル・マクロン大統領の誕生だ。既存政党の基盤がない彼は個人で政治団体「前進!」(現在の「共和国前進!」)を結成し、2017年の大統領選挙に独立系候補として出馬し、いわば徒手空拳で当選した。当初は泡沫候補扱いだったマクロン氏が勝利できたのは、SNSでネット社会の支持を得たからである。その後の総選挙では全選挙区に候補者を擁立し、一気に政権与党になってしまった。

 ことほどさようにSNSなどのネット社会は世界を急速に不安定化させ、大衆が自国(あるいは自説)第一主義に走ってしまう要因になっているのだ。

 もう一つ、技術の進化が世界を変えつつあるのがドローン兵器である。9月に起きたサウジアラビアの石油施設2か所に対する攻撃は、爆弾を抱えた18機の「神風ドローン」と7発の巡航ミサイルによるものとされるが、これは軍事的には衝撃的な“事件”である。

 今回の場合、犯行がイエメンの親イラン反政府武装組織フーシ派であれイランであれ、ドローンはこれまで想定されていた航続距離を大幅に上回る1000km以上の距離を飛行し、極めて精密にピンポイントで目標を破壊しているからだ。

 しかも、ドローンは低空を飛んでくるのでレーダーに捕捉されにくく、イージス艦や迎撃ミサイルでは撃墜できないと思われる。INF(中距離核戦力)全廃条約を破棄したアメリカやロシア、あるいは北朝鮮などはミサイルの開発競争を繰り広げ、日本は陸上配備型弾道ミサイル防衛システム「イージス・アショア」やステルス戦闘機「F-35」の導入を進めているが、安価なドローンで今回のような攻撃ができるのであれば、それらはほとんど意味をなさなくなる。

 ちなみに、いまドローン技術は中国が圧倒的に先行している。1000機のドローンをプログラミング通りに動かして空中に複雑な文字を作ることも可能になっている。このドローンに爆弾を搭載すれば、中国人民軍の台湾侵攻は容易になる。北朝鮮は低空を飛ぶロケット砲を実験しているが、ドローンを使えば、その必要はなくなるかもしれない。「神風ドローン」は、世界の安全保障を一変させる“貧者の戦略兵器”になる可能性もあるだろう。つまり、今や地球上に安全な場所はなくなったのである。

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