芸能

立川談春『たちきり』と響き合うさだまさしのアンサーソング

談春の感動の一夜の内容は?(イラスト/三遊亭兼好)

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、立川談春が独演会に取り込んだ落語と歌の「アンサーソング」という趣向により、異例のカーテンコールが行われた感動の一夜についてお届けする。

 * * *
 立川談春と立川志の輔の落語にさだまさしがアンサーソングを披露した武道館公演について以前書いたが、この「アンサーソング」という趣向を談春が自らの独演会に持ち込んだ。8月27日から9月1日まで渋谷のシアターコクーンで行なわれた「三十五周年記念公演 玉響」だ。

 談春の落語に対して音楽ゲストがアンサーソングを披露する六夜連続のイベントで、第一夜はゴスペラーズ、第二夜は尾崎世界観、第三夜・第四夜はaiko、第五夜は斉藤和義、第六夜はさだまさしが出演。僕は第一夜と第六夜に行った。ロビーでは公演パンフレット代わりの文庫本『玉響 -たまゆら-』(210頁/1000円)が会場限定で販売されており、各ゲストとの対談やエッセイ、歌詞などが載っている。

 第一夜、談春は『子は鎹(かすがい)』を演じた。師匠談志の演出を受け継いだもので、カラッとした亀吉が魅力的だ。母が常日頃から「嘘をつくとお父っつぁんの代わりに玄翁でぶつよ」と言っている、という設定は談春オリジナル。父からもらった小遣いで買った青鉛筆で描いた「青空」(=父の思い出)の絵を家に置き忘れて鰻屋に行ったのは、母に届けさせようという亀吉の作戦だろう。

 鰻屋で再会した元夫婦の二人は、明らかに今も惚れ合っているのに、相手の立場を斟酌し過ぎて再び離れそうになる。そんな両親を亀吉が「ちゃんと言えよ!」と一喝し、それぞれの本当の気持ちを相手にぶつけさせる。「別れた男女が再びやり直すドラマ」として濃厚に描いた談春の『子は鎹』に対するアンサーソングは、あなたの温もりをもう二度と離さないと歌う『冬物語』だ。

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン