オランダ国王の即位式に出席され、国際親善を果たされた(2013年、オランダ・アムステルダム/時事通信フォト)
「イスラエルのネタニヤフ首相が来日するのと同時に、イスラエルと緊張関係にあるパレスチナ暫定自治政府のアッバス議長も参列予定であることが注目されます。ネタニヤフ首相は、パレスチナに対して強硬姿勢であることが知られている。両者が同席する機会は国連総会などごく限られ、新天皇の即位で顔を合わせるとは驚きです。
20世紀前半には多くの戦争がありました。しかし、終戦後の昭和天皇、そして上皇陛下は、国同士の争い事に一切かかわらず、むしろ世界平和に尽くしてこられた。その姿勢が世界の国々から尊敬を集め、日本が平和国家として認められる一因になっています。だからこそ、イスラエルからもパレスチナからも、同時に政治指導者を迎えることができるのです」
そのほか、アメリカからはイレーン・チャオ運輸長官、中国からは王岐山国家副主席という大物が参列する。
「米中の貿易戦争が、世界経済に暗い影を落としています。しかし、両国は水面下で交渉を続けている。もしかしたら、即位の礼を機会に、日本で米中が握手をする機会があるかもしれない。皇室という存在が、政治的に中立であるがゆえに、利害関係なく世界の政治家たちが集えるのです。
そういう意味で、即位の礼の場が、極めて重要な外交的な意味を持つと言えるでしょう」(冷泉さん)
※女性セブン2019年10月31日号