スポーツ

波乱傾向の菊花賞 人気馬と伏兵馬の組み合わせ方が問題だ

混戦が見込まれるメンバー構成

 3歳牡馬クラシック最後の関門の舞台は京都芝3000メートル外回り。近年は波乱傾向も強まっている。競馬歴40年のライター・東田和美氏が考察した。

 * * *
 先週は17年ぶりに春のクラシック馬が出ない秋華賞だったが、結果は桜花賞とオークス3着馬が勝ち、2、3着にはオークスと桜花賞の2着馬が入るという、ある意味「順当」な結果だった。これで三連単が7万円もつくのだから、あまりいろいろなことは考えない方がいいのかもしれない。

 今週も春のクラシックを制した馬は不在だが、菊花賞ではさほど珍しいことではない。最近ではエピファネイアが勝った2013年、キタサンブラックが勝った2015年がそうだ。それでもエピファネイアは皐月賞、ダービーとも2着。キタサンブラックもダービーこそ大敗したが、皐月賞では3着で、2着のリアルスティールもクラシックは2着、4着だ。やはりクラシック戦線を戦ってきた馬は強い。

 ところが今年は皐月賞2着、ダービー3着に来たヴェロックス1頭が目立つのみ。他のクラシック組で掲示板に載ったのはダービー5着のニシノデイジーだけなので、前売りで1.3倍というのも当然なのだろう。父ジャスタウェイが重賞未勝利で距離不安が囁かれており、その父ハーツクライも菊花賞には縁がなかったことが指摘されているが、母の父はモンズーン。スタミナの裏付けがあるので、軸馬として信頼されているのだろう。

 もう一頭の実績馬、歴戦の雄・ニシノデイジーにはルメール騎手が自ら騎乗を希望。セイウンスカイ、ニシノフラワーという西山牧場のDNAが結集したこの馬も今回は人気の一角だ。

 臨戦過程から言えば、古馬と走り勝つことで自信をつけてきた馬にも注目。過去のデータを見ると、1、2着馬は神戸新聞杯(11月に行われていたときは京都新聞杯)からの転戦が多いが、ここ10年の3着馬のうち5頭は1000万特別(2勝クラス)から駒を進めてきた馬だ。

 その中ではヒシゲッコウ。北海道で長めの距離を連勝して4戦3勝。ノーザンファーム生産、堀厩舎、スミヨン騎手と役者が揃っている。

 血統的にサンデーサイレンス系が目立つのは致し方ないが、他のレースに比べればどうだろう。菊花賞が10月に行われるようになってからの19回で12勝、2着14回と連対馬の父こそサンデー系が圧倒しているが、3着馬の父親となると、10頭はサンデー系以外、うち6頭は母系にもサンデーがはいっていないのだ。さらに3着馬でおもしろいのはサンデー系のうち3頭の父親がヤマニンセラフィム、ミスキャスト、トーセンダンスといった地味な種牡馬であること。

 今年サンデー系以外の種牡馬はニシノデイジーなど8頭だが、サンデーサイレンスの血が入っていないのは外国産馬ユニコーンライオンだけ。

 やや地味なサンデー系種牡馬としては2011年の菊花賞で3着に入っている京都巧者トーセンラーの産駒ザダルがいる。デビューから3連勝でプリンシパルSを勝ったが、今年は豪雨のため、5月4日に行われるはずが12日に延期になり、ダービーへのステップとしては無理があった。

 生産牧場で言えば、例によって社台グループの牧場が過去19年で10勝、2着12回。3着は8回だが、ここ2年は二桁人気のノーザンファーム産馬が激走するなど相変わらずしぶとい。社台グループ生産馬のワンツースリーというのも4回ある。

 今年もグループ生産馬が10頭いて、秋華賞同様「社台の運動会」と言ってもいい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン