「録画機器やネット視聴が定着した今、視聴率なんて重要なのか?」と思う人もいるでしょうが、スポーツ中継は別。ドラマや映画のように、録画やネットでの視聴はあまり期待できず、「リアルタイムで見てもらうことが大前提」、すなわち視聴率が極めて重要なコンテンツなのです。
同じ10月にゴールデンタイムで放送された他のスポーツと比較しても、CSと日本シリーズが厳しい結果だったことは一目瞭然。
日本テレビが放送したラグビーは、5日(土)の「日本vsサモア」32.8%、13日(日)の「日本vsスコットランド」39.2%。
テレビ朝日が放送したサッカーは、10日(木)の「日本vsモンゴル」10.1%、15日(火)の「日本vsタジキスタン」13.5%。
フジテレビが放送したバレーボールは、1日(火)の「日本vsイタリア」10.8%、2日(水)の「日本vsポーランド」10.3%、4日(金)の「日本vsチュニジア」10.5%、5日(土)の「日本vsアメリカ」6.7%、6日(日)の「日本vsアルゼンチン」9.0%、9日(水)の「日本vsオーストラリア」9.0%、10日(木)の「日本vsロシア」10.4%、11日(金)の「日本vsエジプト」11.5%、13日(日)の「日本vsイラン」5.9%、14日(月)の「日本vsブラジル」13.5%、15日(火)の「日本vsカナダ」12.7%。
社会的なブームとなったラグビーは別にしても、2022年のワールドカップに向けた2次予選に過ぎないサッカーと、オリンピックに次ぐ位置づけのワールドカップバレーが、コンスタントに2桁視聴率を獲得しているだけに、プロ野球中継の厳しさが際立ちます。
ただ、この低迷は「単なる野球離れなのか?」とは言えません。
地上波の野球中継におけるメイン視聴者は、「M4層(またはM3+など)」と呼ばれる65歳以上の高年男性であり、その次に一部の「M3層(またはM3-など)」(50~64歳)。その下の「M2層」(35~49歳男性)、「M1層」(20~34歳男性)の野球ファンは、CMが少なく必ず最後まで放送するBS、CS、ネット配信サービスで見ることが多く、地上波の視聴率に関与することは少ないのです。
ターゲット層が狭い上に、メイン視聴者は購買意欲が低いためスポンサー受けが悪く、広告収入につながりにくい。さらにプロ野球は近年、「ホームタウン向けのローカルコンテンツ」という傾向が強くなり、地方では人気コンテンツである一方、都心では「レギュラー番組を休んでまで放送するものではない」と言われているのです。
◆国内スポーツはローカルコンテンツに変化