昨夏、20年ぶりのフルモデルチェンジを受け、長い納車待ち期間が話題になるなど、ヒット作となった「ジムニー」。こちらはFRレイアウトでラダーフレーム構造、無骨なスクエアフォルムなどが人気を博したが、ハスラーコンセプトもどことなくジムニーを彷彿とさせるものがある。実際、「ジムニーに近づくようなテイストで変えた要素は少なからずある」(同前)と言う。
ジムニーは3ドアタイプのみだが、同車が出て以降、「使い勝手がより増す、5ドアバージョンも導入してほしい」という消費者の声がかなり聞かれた。逆に言えば、5ドア版がないためにジムニーの購入を諦めた人も少なからずいたと目される。メーカーであるスズキ側から見れば、それはユーザーの取りこぼし、あるいは機会ロスだった。
そこで、角張ったフォルムになる新型のハスラーが、ジムニー5ドアを渇望していた人たちの、ある種の受け皿になるかもしれない。本格的なクロスカントリー4WD車までは必要ないものの、ジムニーのデザインが好きで、“ジムニーチック”なクルマが欲しいという人も一定数いるからだ。
「ハスラーには2駆だけでなく4駆もありますが、居住性重視の、いわば“生活4駆”。とはいえ、新型は現行型よりも一段、走破性も上がっており、十分にご満足いただけると思っています」(同前)
では、一新されるハスラーの内装面はどうか。印象的だったのは、ベンチシートでなくセパレートシートだったことと、独特なデザインで好き嫌いが分かれそうな、3連デザインのインパネ部分である。
「このクルマには、サプライズやチャレンジングなデザイン要素も必要。3連のインパネデザインは、アウトドアグッズのアイテムを連想させ、落ち着き感よりも遊び感覚を重視しました。3連デザインの好みが分かれるのは承知のうえで、敢えて挑戦しています。
また、ベンチシートですと、どうしてもシートの真ん中の盛り上がり部を少し低くして、お尻を横にスライドさせやすくしなければいけない。そうなると、シートのホールド性が少し犠牲になってしまいます。今回はベンチシートを廃して、空いた部分を収納スペースとして活用するほうがいいと判断しました」(同前)