生理の回数が多いほど卵巣がんのリスクが高くなると、東峯婦人クリニックの松峯美貴さんが解説する。
「排卵する際、卵胞は卵巣の壁を突き破って出てくるため、そのたびに卵巣が傷つきます。妊娠しない限り排卵するため、毎月のように傷を作っては修復している状態です。その修復過程で細胞のがん化が起き、卵巣がんになると考えられています」
医療ジャーナリストの増田美加さんは、生理回数は乳がんや子宮体がんの発症とも関係していると指摘する。
「女性は初経から閉経まで生理のある期間、女性ホルモンを分泌しています。女性ホルモンの1つであるエストロゲンが分泌されている期間が長いほど、乳がんのリスクは高くなります。つまり妊娠・出産回数が少なく、生理の止まっている期間が短いほどリスクが高い。子宮体がんも同じく、エストロゲンの分泌期間が長いことにより、がんリスクが高まります」(増田さん)
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」によると、1984年に比べて2014年の子宮体がんの罹患率は激増しており、特に50代前半の層では約3.6倍にもなっている。
さらに、生理と排卵の回数が増えることで、子宮筋腫や子宮内膜症のリスクも上がる。
そもそも生理とは、受精しなかったことで必要がなくなった子宮内膜を体外に排出する働きのこと。この時、子宮内膜を剥がすために子宮は収縮する。この子宮収縮が強すぎると生理痛が起こり、月経血が卵管を逆流して、子宮以外の場所で子宮内膜組織が増殖し、卵巣チョコレート嚢腫などを引き起こす。これが子宮内膜症だ。
「若い女性に増えている病気で、月経のある女性の約1割にみられ、国内患者数は約63万人ともいわれている。子宮内膜症罹患者のうち30~50%は不妊症につながります」(深沢さん)
※女性セブン2019年11月21日号