──「万が一のための保険」から、「事故を起こさない保険」への転換ですね。
金杉:1年間に事故などで自動車保険の支払いを受ける加入者は、およそ10人に1人。つまり、9割の方は“安心料”として保険料を支払うだけになっている。保険料の対価として何らかのサービスを受けているわけではないので、「保険会社にただお金を取られているだけ」という感覚の方も多いかもしれません。
その点、当社のテレマティクス保険は、すべての加入者の運転を分析して提供するアドバイス機能や、「この道路は危険です」と警告するアラート機能なども付いている。すべての保険加入者が等しくサービスを受けられます。
この商品では、保険加入者の同意があれば、家族も運転診断レポートを共有できる。
たとえば、地方にいる高齢のご両親のドライブデータを、東京で働いているお子さんが把握できるわけです。「こんなところで急ブレーキしてちゃダメだよ」といったように“見える化”することで、具体的な注意喚起もできる。こうした機能は、テレマティクス自動車保険だからこそ実現できるものであり、従来の自動車保険にはありませんでした。
当社はテレマティクス自動車保険のパイオニアとして、一部トヨタ車を対象に「タフ・つながるクルマの保険」の販売を2018年1月より開始しております。今回発売する「タフ・見守るクルマの保険プラス」は、年明けから大々的に展開していく予定です。
【PROFILE】かなすぎ・やすぞう/1956年、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、1979年に大東京火災海上保険入社。あいおい損保執行役員を経て2010年にあいおいニッセイ同和損保執行役員。その後、同社取締役常務執行役員、取締役専務執行役員などをへて2016年4月より現職。
●聞き手/河野圭祐(ジャーナリスト):1963年、静岡県生まれ。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。
※週刊ポスト2019年11月22日号