この時期は損保業界を揺るがす出来事もたびたび発生しました。あいおい損保ができた直後の2001年9月11日には、アメリカで同時多発テロ事件が起き、あいおいニッセイ同和損保が始動した翌年の2011年3月11日には東日本大震災がありました。
同時多発テロでは、航空保険の再保険をあいおい損保も引き受けていたこともあり、1300億円を超える支払いが発生しました。東日本大震災でも約1850億円の保険金を支払っています。
どちらも会社を揺るがす難局でしたが、それによって「合併で内輪揉めをしている場合ではない」と、かえって結束できた面はあったと思います。
◆ドラレコで運転を採点
──東日本大震災以降も日本各地で地震が相次ぎ、今年9月の台風15号や10月の台風19号によって、全国的に水害が発生しました。自然災害に対する備えは国民の一大関心事ですが、そのニーズにはどう向き合っていきますか?
金杉:自然災害による被害を補償することも重要ですが、これからの損害保険会社は「災害時の安心をどう提供していくか」が重要です。
たとえば当社では県立広島大学と共同で「避難保険」の商品化に向けて調査を開始しました。
災害が迫り、自治体からの避難勧告が発令されてもすぐに避難できない方はたくさんおられます。そうした方のご自宅に迎えに行く、安全で快適な場所に避難してもらう、そういった一連の費用を保険で賄うというサービスを想定しています。
誰が保険に加入すべきか、枠組みや賛同して参加して頂ける企業がどれくらいあるのかなど、検討すべき内容は色々とありますが、「避難保険」という新しい概念について反響は大きく、今後も産学官の三位一体で取り組んでいきます。