「企画が進んでいくにつれ、失敗することはあってはならないと思うようになりました。これで失敗したら次はなくなると責任を感じました」(星合二段)
しかし、強い責任感とは裏腹に、「プロジェクトとしては未熟でした。何も知らなさすぎて」と木部二段が振り返るように、作成工程や編集作業など分からないことばかり。知らないことにあたると一旦立ち止まって調べ、再び実行──という繰り返しだった。
なにせ、企画、撮影、インタビュー、編集、クラウドファンディング、YouTube……すべてが初めてのことなので、作業も非効率。専門の人に頼らず、自分たちでやろうとしても、ひとつ問題を片付けるだけで大変な労力と時間を費やしたという。
「頭の中にはずっとプロジェクトのことがあって、碁の勉強時間は確実に減りました。成績に影響があったかどうかについては……なかったと思いたいですね」
と苦笑いの星合二段。ただ、ふたりは「何かが足りないとき、周囲のみんなが親身に相談に乗ってくれました。知り合いが知り合いを紹介してくれて、少しずつ進んでいく。新しい試みがみんなに応援してもらえたことは、運がよかった」と口を揃えた。
当初、クラウドファンディングは達成ラインを150万円に設定した。それではクリアしても資金が足りないのは分かっていたが、到達できないことを恐れたのだ。しかしそれは杞憂に終わった。たった3日で150万円が集まったのだ。
「楽しみにしてくれている人がいる。求めてくれた人がいたのだと実感しました」
と星合二段。最終的には、438万5420円が集まった。協力してくれた人の中には、囲碁を知らない人もいたが、皆が囲碁界を盛り上げたいという気持ちで支援してくれたという。彼女たちにとって、なんと心強かったことか。