「大腸がん、乳がん、前立腺がんで有意な結果が出なかったのは、それぞれに理由があると考えています。まず大腸がんでは、罹患リスクの1つである赤肉・加工肉摂取など、その他の生活習慣要因や遺伝子情報のデータが調整できていない。
また前立腺がんに関しては、そもそも家族歴がある対象者が少なかった。現在はPSA検査などによって見つかることが増えていますが、1990年代までは前立腺がんは患者が非常に少ないがんでした。進行が遅いため、罹患に気づかず亡くなった方も少なくない。そのため、対象者へのアンケートを元にした今回の調査では、正確なデータを把握しきれなかった可能性があります。今後の課題は家族歴の把握精度を向上し、環境的要因をさらに検討することでしょう」
研究は発展途上だが、患者の多い代表的ながんの多くで「がん家系」が発症率に関係していることは間違いなさそうだ。
※週刊ポスト2019年11月29日号