「婚約解消以来、ずっと恋愛をしていないので、東京での出会いが楽しみです。私は現在58歳ですが、死ぬまでにもう一回結婚します。内助の功として夫を出世させるのが得意ですし、好きなんです」
芸能界を離れたことで、見えてきたことも多いという。
「今まではお手伝いさんやお弟子さんがやってくれていたので、掃除が苦手でした。でも、ペンションの仕事のおかげで、得意になりました。第二の花嫁修行です。次の私の旦那さん、相当幸せですよ!」
都会から隔絶された生活のなかで、自分を見つめ直す機会もあったようだ。
「私は小さい頃から芸能界で育ってきたので、一般社会を知らなかったんです。家族のほのぼのとした温かさや楽しさを知らずに来てしまいました。薄い人間でした。清里の生活で、人間の幅が広がったと思いますし、すべてがうまくいっています。清々しい、清らかな気持ちで日々過ごしています。まさに清里です」
実家・海老名家とはかつて“絶縁宣言”をして縁を切ったと表明していたが、父方の従兄弟の兄が、これまでに3回清里を訪れ、母親の近況などを伝えてくれたという。
「いつか家族にも会いたいなと思っています。会える日も近いんじゃないですかね!」
ペンションでは食器洗いやトイレ掃除、掃除機かけなどに汗を流していた泰葉。何かが吹っ切れたかのように終始ポジティブなフレーズを連呼していたが、長い迷走の果てに、ようやく安住の地を見つけたのかもしれない。
■取材・文/西谷格