創業家と骨肉の争いを繰り広げた窪田健一・現社長

創業家と骨肉の争いを繰り広げた窪田健一・現社長

 一方、前代未聞ともいえる創業家と窪田社長ら現経営陣との骨肉の対立で、“漁夫の利”を得る形になったのがコロワイドであった。

 コロワイドはもともと神奈川県逗子駅前で1963年に甘味処「甘太郎食堂」を開業したのが始まりだ。1970年代に郊外型ファミリーレストランが勃興、近くの藤沢市でも「すかいらーく」や「デニーズ」のファミレス戦争が勃発した。

「甘太郎」の2代目社長・蔵人金男氏はそんな状況に危機感を募らせて、1977年10月、全品220円均一(翌年全品440円均一に値上げ)の炉端焼き業態「手作り居酒屋 甘太郎」を開業、大繁盛させた。商圏の狭い逗子市で大ヒットしたことが自信となり、神奈川県内に集中的に店舗展開を進めた。

 蔵人氏は若いころ、日本フードサービス協会(JF)の勉強会などにも出席し、チェーン理論を学んだようだ。蔵人氏が最も影響を受けたのは、郊外型ファミリーレストランを1970年から展開したすかいらーくだ。1977年に東洋一のセントラルキッチン東松山工場(現松山MD〈マーチャンダイジング〉センター)を竣工。農業生産者から直接食材を仕入れ、工場まで運びメニュー開発、調理、物流、店舗まで配送する一貫したシステムを築いた。

 これによって一般的なルートを使うよりは3~5%はコストが安くなった。すかいらーくが急速に店舗展開できたのは、「よりよいものをより安く」というマス・マーチャンダイジングを実践してきたからだ。

 蔵人氏は1986年には逗子市に食品加工工場を作り、スケールメリットを追求した。コロワイドが高収益居酒屋チェーンとして急成長したのにはいくつかの要因がある。

 まず店舗のドミナント展開による知名度アップと効率化、次にセントラルキッチン(集中調理施設)と物流ルートの構築、その次に現金決済による店舗づくりや食材原価の低減化を図った。1993年には「甘太郎 海老名2号店」で全席に無煙ロースターを導入、メニューに焼肉を取り入れ、客単価を4000円~5000円の高収益居酒屋チェーンに脱皮させた。

 1999年10月に現ジャスダックに上場、2000年10月に東証二部、2002年9月に東証一部に上場。コロワイドは先行する居酒屋チェーンのモンテローザやワタミを企業規模であっさりと追い抜いた。

 その原動力となったのが、M&A戦略である。蔵人氏は1993年に岡三証券から転職し、右腕となった野尻公平現社長と2002年から現在に至るまで、合計17回ものM&A戦略を実施してきた。「蔵人家の番頭」を自称する野尻社長とはよほど相性が良かったのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト