国内

「あの相鉄が都心乗り入れとは…」 沿線住民らが抱く感慨

相鉄・JR直通線で使用される12000系。直通線の一部は埼京線・川越線にも乗り入れる(時事通信フォト)

 あの相鉄が多摩川を渡るなんて──11月30日、相模鉄道(相鉄)は悲願の都心乗り入れを開始した。20年ほど前に相鉄沿線の「西谷(にしや)」近郊で暮らしていた筆者には驚愕の大ニュースだ。

 相鉄は首都圏の大手私鉄で唯一、都内に乗り入れず神奈川県内の住宅地を走ってきた。これまで相鉄から横浜経由で都心に向かうには、横浜でいったん下車後に混雑する駅構内を縦断してJRや東急東横線に乗り換える必要があったが、これからは途中下車することなく新宿や渋谷といった都心に向かえる。しかも直通電車には、車体を「ヨコハマネイビーブルー」で統一したオシャレな新型車両が投入される。

 これぞ隔世の感である。そもそも相鉄は沿線住民以外の知名度が圧倒的に低く、筆者が都内に引っ越してからその名を口にすると、周囲は「相鉄? 何それ? 知らなーい」という塩対応ばかりだった。今年8月8日付の神奈川新聞のインタビューで相鉄ホールディングスの滝沢秀之社長が「今なお『相撲』鉄道と呼ばれることもあり、認知度は低いと感じている」と自ら語ったほどだ。

 沿線住民にとっては、「やたらと各停の駅が多いローカル電車」でもあった。横浜から最初の特急・急行停車駅である二俣川まで、8つもの駅を挟むのだ。神奈川県茅ケ崎市出身で社会人になってから相鉄沿線の「天王町」(横浜から3つめ)近くに引っ越した40代Sさんが振り返る。

「学生時代は二俣川にある運転免許試験場に行く時しか相鉄を利用しませんでした。横浜から各停に乗るとすぐ『平沼橋』に到着して、その次に『西横浜』とまた“横浜”という駅名が出てくると先に進んでいる感じがしなくて、“この駅は本当に必要なのか”と思いました。『星川』のあとに『和田町』を挟んで『上星川』が来るのも、もどかしかった。

 逆に各停しか停まらない天王町に住むようになってからは、間違えて横浜から急行に乗ってしまった時の絶望感がハンパなかった。二俣川から戻ってくるのに5つも駅に停まる必要があって、すごく時間がかかったんです」(Sさん)

 筆者も各停と快速のみが停車する星川にあった家系ラーメンの名店「千家」を訪れようとして横浜から急行に乗ってしまい、二俣川からの折り返しで快速に乗ったつもりが今度は横浜行きの急行で、泣く泣く星川を通過して横浜に戻るというコントのような経験をしたことがある。横浜から間違えて特急や急行に乗り、二俣川でUターンする“二俣川大返し”を体験した乗客は多いのではなかろうか。

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン