精神科だけでなく、内科や外科、産婦人科などの他科でも、症状で不安になった患者が信頼や尊敬、感謝などの気持ちから主治医に好意を抱き、それが恋愛感情に発展するケースがある。例えば2017年に斉藤由貴(53)が横浜でクリニックを経営する50代医師とのW不倫疑惑を報じられた際も、ネットでは「転移性恋愛ではないのか」と議論された。
 
 ただし臨床現場においては、患者が主治医に一方的な好意を抱くだけでなく、恨みや敵意、憎悪といったマイナスの感情を主治医に向けることもある。精神的に不安定な状態になって受診した患者から「好き」と「嫌い」というまったく逆の感情を一方的に向けられるリスクを背負いながら、多くの医師は患者の治療に全力を尽くしている。

 他方で精神科の医師には、他科よりも患者との関係に慎重であるべき事情があるという。

「患者が医師に恋愛感情を抱きやすいことに加えて、精神科医は脳内の神経伝達物質に作用する向精神薬を用いるからです。もし、下心を持った医師がそれらを大量に処方した結果、患者が処方薬に依存するようになり、“薬が切れたらどうしよう”、“この先生に見捨てられたらどうしよう”などと不安にさいなまれるようになったらどうなるか──医師が患者の心身をコントロールすることもできないわけではありません」(片田氏)

 多くの精神科医は医師としての良心を持ち、症状を改善するために患者と真摯に向き合っている。だが精神科の臨床においては、医師が自らの立場を利用して患者を支配する可能性がないわけではない。

 それゆえ、欧米では、治療中の精神科医が患者と性的関係を持つことを「犯罪行為」として刑法などで規制したり、医師資格の抹消を含む制裁を加えたりするケースが見られる。例えばドイツの刑法は、「治療を行う関係を濫用して、精神療法が行為者に委ねられている者に対して性的行為を行うなどした者」は、「三月以上五年以下の自由刑」と定める。

 だが日本には明確なルールが存在しない。多くの精神科医が所属する日本精神神経学会は「精神科医師の倫理綱領」で、〈精神科医師は、専門的技能および地位の乱用を行ってはならず、精神を病む人びとからのいかなる搾取も行ってはならない〉とするが、罰則規定は設けられていない。

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