池谷医師が一押しする食材はトマトだ。
「血管の老化の原因となる活性酸素から体を守る働きを『抗酸化作用』と言います。トマトに含まれる赤い色素であるリコピンは抗酸化作用が非常に強く、その効力はβカロテンの2倍以上、ビタミンEの約100倍と言われます。
またトマトに含まれるGABAというアミノ酸の一種は、交感神経の緊張を抑えてストレスを減らし、血圧を下げる効果があります。血管年齢が高い人は、無塩のトマトジュースを毎朝飲む習慣をつけてほしい」
リコピンは金時人参や柿、パパイヤやマンゴーなどに、GABAはお茶や大豆もやし、きのこ類に多く含まれる。トマトと同じく、料理の名脇役となる玉ねぎにも注目だ。
「玉ねぎに含まれるケルセチンは抗酸化作用の強いポリフェノールの一種で、血管内細胞の酸化によるダメージを防ぎ、血管を拡張して血圧を下げる作用がある。皮を剥いた玉ねぎを4~5日ほど日光にさらすと外側の色が茶色くなって、ケルセチンが3倍に増えるという研究結果もあります。ただしケルセチンは水に溶けるので、表面を洗って切った後は水にさらさないようにしてください」
同じく動脈硬化を防ぐ作用のある酢を加えて、「酢玉ねぎ」にするとさらなる効果が期待できる。日々の台所で利用する油にも気を配りたい。
「サラダ油に含まれるn-6系脂肪酸のほとんどはリノール酸で、摂りすぎると血管を老化させます。一方でサンマやイワシといった青魚に含まれるEPAやDHA、えごま油やあまに油などは、血中の中性脂肪やコレステロールを減らして、血管年齢を若返らせます。できれば毎日一切れでも青魚を食べてほしい」