「次期総裁選への出馬に意欲満々な岸田、茂木、加藤の3人は総理に名前を出してもらって喜んでいる。しかし、菅さんはマスコミではポスト安倍の有力候補と報じられていても、本人は一貫して『総裁選に出る気は全くない』と否定してきた。3人とは違って官房長官として本物の権力の一部を握っているから、総理に忠誠心を疑われないために神経質なほど総裁候補と言われることを嫌がっている。
安倍総理はそれを百も承知のはずなのに、菅さんがバッシングを受けている微妙な時期に総裁候補として名前を挙げた。総理の真意がどうであれ、うがち過ぎた見方をすれば、“こいつは総理を狙っているぞ。もっと叩いていい”とけしかけているように聞こえる」
安倍首相の発言には他にも注目すべき点がある。自民党内ではポスト安倍候補として「河泉敏信」(河野太郎防衛相、小泉進次郎環境相、茂木敏充氏、加藤勝信氏)と呼ばれる4人が浮上していた。
とくに河野氏と「育休宣言」した進次郎氏は、新聞の世論調査の「次の首相にふさわしい人」でも他の候補より上位にランクインしている。
ところが、安倍首相は後継者発言でその2人に全く言及しなかった。なぜ、候補から漏れたのか。政治アナリスト・伊藤惇夫氏はその意図をこう読み解く。