虎雄氏名義の文書の真贋をめぐって徳洲会関係者たちが動揺するのは、この文書が、徳洲会への「捜査」を受けて出されたものだからだ。警視庁の捜査関係者が語る。

「徳洲会のグループ企業の代表者から特別背任容疑の告訴状が出され、昨年、捜査2課が受理して捜査が進められています。鈴木理事長を始めとする関係者への事情聴取は終わっている」

 このグループ企業の代表こそ、先に「トラオ文書」の信憑性を訴えた徳洲会建物管理の越澤氏である。同社は徳洲会の系列病院の建設工事に関して、徳洲会から約3億2000万円の業務委託手数料を得た。ところが2014年4月、この報酬の半額の約1億6000万円を他の用途に流用させる目的で、鈴木理事長が徳洲会建物管理の取締役に命じて徳洲会に払い戻させた。それが特別背任に当たるとして、越澤氏が告訴したのだ。

 同じ徳洲会グループ内の資金融通であれば、「巨大組織ならよくあること」と、司直から見逃されることが多い。それが刑事告訴につながり、捜査当局が乗り出した背景には、当時、徳洲会事件でグループ全体が揺れていたことが大きい。

 2013年11月、虎雄氏の次男・毅代議士の公職選挙法違反容疑を捜査していた東京地検特捜部が虎雄氏の親族を含む6人を逮捕。闘病中の虎雄氏も事情聴取を受けた。毅氏は議員辞職し、虎雄氏も理事長を辞任。翌2014年8月までに、起訴された全員の有罪が確定し、他の徳田ファミリーも徳洲会から退いた。

 件の送金が行なわれた2014年4月は、そうした混乱の最中である。

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