「檸檬堂」のラインナップは当初の「定番レモン」(アルコール度数5%)、「塩レモン」(同7%)、「はちみつレモン」(同3%)と前述の「鬼レモン」(同9%)の計4種だが、この品揃えの多さによって、お酒が苦手な人から濃厚にガッツリ飲みたい人まで幅広い層に訴求でき、「檸檬堂」という日本的な和テイストの響きや缶デザインも消費者の支持を集めた。
昨年11月、発売からまだ1か月にも満たない時点で、地方の、あるコカ・コーラボトラーの幹部は、「週間の集計で、缶チューハイの銘柄別販売でいきなり『檸檬堂』がトップに立った」と自信を示していたが、その後、口コミやSNS、テレビCM効果などで急速に認知度も上がっていったわけだ。
最近、想定以上に売れていることから生産が追いつかず、「檸檬堂」の販売を一時的に休止するという発表があって話題になったが、この手の休止は、「あらかじめ生産ロットを絞り、売れ過ぎて一旦休止にすることで、さらなる広告宣伝効果を狙う、品薄商法だ」といった指摘もよく聞く。
休止の一報後、筆者の自宅周辺のコンビニやスーパーを覗いてみたところ、大手スーパーと大手コンビニは確かに「檸檬堂」の棚は空っぽだったが、中堅スーパーでは4種とも棚に並んでいた。また、来店した子供連れの主婦が「ここはまだあるじゃない」と言って何本も買い物カゴに入れていたところを見ると、販売休止の宣伝効果はやはり大きかったようだ。
では、消費者の味の評価はどうか。「檸檬堂」の商品は、他社のRTDやレモンサワー商品に比べて、スーパーで見比べると30円程度高い価格設定だが、シニア世代の主婦Aさんはこう語る。
「『檸檬堂』は確かに美味しい。缶チューハイにありがちな、安っぽい変なアルコール臭のする味もなく、焼酎の味わいもしっかりある感じ。炭酸も、辛くて強いものが多いけど、これはお酒の邪魔をしていない。コカ・コーラは炭酸技術に長けているでしょうから、お酒と炭酸のマッチングも上手く引き出している感じね」
販売再開後、「檸檬堂」はさらに売り上げを伸ばしそうだが、一方で「こだわり酒場のレモンサワー」も負けてはいない。前述した高アル商品の追加もあり、今年のレモンサワーの販売計画は前年比146%の1430万ケースと、ほかのRTD商品と比較しても群を抜く高い伸びを見込む。
これは、昨年の販売実績で4283万ケースだった「-196℃」は別格としても、1852万ケースのハイボール缶にも一気に近づく数字で、拡大中のレモンサワー人気を裏付ける。