国内

1台27万円? 小中学校に「PCを1人1台」で膨れ上がる予算

次世代には必須のスキルだが

 先生が黒板に板書して、子供たちがノートに書き写す──そんな光景が、大きく変わろうとしている。安倍政権は「小中学生にパソコン1人1台」という構想をブチ上げた。これからの時代には必須なのかもしれないが、それに必要な予算は、いま政府が明らかにしている額より大きく膨れ上がる懸念がある。ノンフィクション作家・広野真嗣氏がレポートする。

 * * *
 1月20日に召集された通常国会では、IRを巡る汚職事件の追及などに注目が集まるが、見逃せないのが政府の経済対策の中身だ。目玉のひとつが、小中学生がパソコンを1人1台使えるようにする「GIGAスクール構想」である。これに4000億円もの巨費が投じられようとしている。

 まず小学5、6年と中学1年の全児童・生徒の約400万人分を教室に配備し、無線LAN環境を整える。さらに3年で小中の全学年で「1人1台」を実現する方針で、手始めに2019年度補正予算に2318億円を計上した。

 確かに、教育におけるIT環境の整備で、日本は遅れをとってきた。

 先月、OECDは2018年に実施した学習到達度調査(PISA)を公表。インターネットから必要な情報を求める力などが問われた「読解力」の分野で、日本は3年前の8位から15位に順位を落とした。

 理由の一つとして、IT基盤の脆弱さは見逃せない。別の国際教員指導環境調査では、「生徒に課題や学級での活動にICT(注・情報通信技術)を活用させる」という項目に「いつも」または「しばしば」と回答した割合が17.9%と48の参加国の平均(51.3%)をはるかに下回り、下から2番目だった。

 こんな実情を巻き返そうと官邸の教育再生実行会議が昨年5月、〈ICTは「マストアイテム」〉と打ち出すと、「パソコン1人1台」は瞬く間に景気対策の目玉のひとつに押し上げられたのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
モサドの次なる標的とは(右はモサド長官のダビデ・バルネア氏、左はネタニヤフ首相/共同通信社)
イスラエルの対イラン「ライジング・ライオン作戦」を成功させた“世界最強諜報機関”モサドのベールに包まれた業務 イラン防諜部隊のトップ以下20人を二重スパイにした実績も
週刊ポスト
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン