そうした中で大切なのは、各個人が「がんに関する正しい知識」を身につけることです。例えば、日本ではかねて「がん家系」という言葉が知られ、遺伝の影響を心配する人も少なくありませんが、「遺伝の影響は5%程度」というのが正しいところ。それよりも、がんの原因の6割以上と考えられている「生活習慣」に気をつけるべきです。
私は2018年12月に膀胱がんが見つかりました。幸いにも大きさ1.5センチの早期がんだったので内視鏡手術を受けて切除できましたが、当事者になって、改めてがん予防の重要性を実感しています。正しい情報を見ていきましょう。
◆北国で死亡率が高い理由
禁煙、節酒はよく知られますが、多くの人が「関係ないだろう」と思っている習慣も、がん予防につながります。
●1日2回以上の「歯みがき」
愛知県がんセンター研究所の調査では、1日2回以上の歯みがきをする人は、1日1回の人に比べて、口の中や食道のがんのリスクが3割減ることが分かりました。口腔内で発がん性物質を作る細菌を含む歯垢を、歯みがきで除去しているからだと考えられています。
自前の歯の本数も重要です。同調査では、自前の歯が1~8本しか残っていない人は、21本残っている人に比べて、食道がんリスクが1.9倍上昇するとしています。