たとえば中国のマカオは、習近平国家主席の「虎も蠅も叩く」汚職・腐敗撲滅運動でマネーロンダリング需要がなくなり、急激に失速している。
オーストラリアも主要都市には「ザ・スター」「クラウン」などのカジノがあるが、中国人客が減少した影響もあって全く繁盛していない。韓国のソウルや済州島、仁川、釜山、大邱のカジノも同様だ。フィリピン、ギリシャ、バルト三国などのカジノも閑古鳥が鳴いている。
アメリカの場合も、国内第2位のカジノ都市・アトランティックシティは、トランプ大統領の「タージ・マハル」などが次々に倒産して見る影もなく凋落してしまった。ラスベガスは周知の通り、今やコンベンションと家族連れがショーやイベント、グルメ、ショッピングなどを楽しめるエンターテインメント・キャピタルに変貌し、カジノは脇役になっている。つまり、今やカジノは世界的な斜陽産業なのだ。
そういう状況の中で浮上してきた“新市場”が日本である。日本生産性本部の『レジャー白書2019』によると、パチンコ・パチスロ産業の市場規模は20兆7000億円で、飲食や観光を上回る最大の余暇産業だ。さらに競馬、競輪、競艇、オートレースの公営ギャンブルもある。このため世界中のカジノ業者が日本は今まで禁止されていたカジノが認可されれば巨大なマーケットになる、と踏んで殺到しているのだ。
もっとも、実は安倍首相自身、カジノ事業の実現に本気で取り組むつもりはないのではないかと思う。
通算在任日数の歴代最長記録を更新し続けている安倍首相は、8月24日には連続在任日数でも大叔父の佐藤栄作元首相の2798日を抜いて1位となる。私は、連続在任日数の最長記録を更新し、さらに東京五輪・パラリンピックが終われば、安倍首相はいつでも政権を手放す心積もりではないかとみている。これまでの時間の使い方から見て、憲法改正に命懸けで取り組むとも思えない。