同時期に一発ネタでブレイクした芸人の多くが行き詰まるなか、「○○か!」というキラーフレーズを持ちつつ、あくまでも漫才師としての高い技術力が基礎になっていたからこそ、タカアンドトシは活躍を続けることができたのかもしれない。

 実際に、昨年の全国ツアーの際、『ザテレビジョン』のインタビューの中で、彼らは「『欧米かっ!』っていうのは元々、面白い漫才を突き詰めていったら偶然できた、ネタの中の1フレーズ」「そういうワードなんかよりも、とにかく面白い漫才を作ろう」と語っていた。

 全国ツアーで回った公演会場の一つに、北海道札幌市の共済ホールがあった。北海道はタカアンドトシの出身地でもある。子供のころから芸人を目指していたタカが、中学校2年生の時に転入してきたトシを誘って、アマチュアのお笑いコンビを結成したのが1990年。この時をタカアンドトシの原点とするならば、今年は30周年を迎えることになる。

 そんな彼らにとって、地元の北海道は特別な思い入れがある場所に違いない。東京でブレイクし始めた彼らは、2007年4月から北海道で冠番組『タカアンドトシのどぉーだ!』(北海道文化放送)を担当していた。地元のローカル番組への出演は10年以上続き、現在も『発見!タカトシランド』(同前)などで北海道の魅力を紹介している。長い間タカアンドトシが地元に愛されてきた理由について、ラリー遠田氏は次のように述べる。

「自然が多くのどかな北海道出身の2人は、人当たりが良くて優しいイメージがあります。のんびりした風土の北海道出身でありながら、東京ではしっかり結果を出して活躍している。でも、キャラクターとしては相変わらず温かくて優しい。地元の人は彼らのそういうところを愛しているのだと思います」

 革新的な実力派漫才師として結果を出すとともに、地元で愛されるような優しくて温かいキャラクターを持ち合わせていること。タカとトシの出会いから30年となる現在も彼らが人気を保ち続けているのは、おそらくこうしたところに理由があるのだろう。

●取材・文/細田成嗣(HEW)

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