国内

「撮り鉄」のマナー違反問題 老舗カメラ雑誌編集長の苦悩

笹塚駅のホーム床面にあった注意書き

撮影時の注意事項が駅に掲示されている。京王電鉄・笹塚駅

 鉄道ダイヤ改編期になると、ネットだけでなくニュース報道でもマナーを守らない鉄道ファンの話題が世間を賑わせる。私有地に立ち入り踏み荒らす、乗客に罵声を浴びせるなどトラブルを起こしがちと言われる鉄道の撮影ファン、いわゆる「撮り鉄」は、すっかり嫌われ者だ。だが、彼らが撮る写真は「同じ場所・構図」のため「図鑑写真のよう」だと伏見美雪・アサヒカメラ編集長は指摘する。ライターの小川裕夫氏が、問題行動を起こす撮り鉄がとらわれている編成写真至上主義の存在を指摘し、その原因について考えた。

 * * *
 近年、鉄道ファンの裾野は確実に拡大しつつある。

 鉄道ファンの裾野が拡大傾向にある背景には、さまざまな要因が考えられる。軽量小型のミラーレスカメラやスマホの普及によって撮り鉄への参入障壁が低下したこと、テレビ朝日系列『タモリ倶楽部』やNHK『鉄オタ選手権』などの鉄道をテーマにしたテレビ番組が増えたこと、元SKE48メンバーで女優の松井玲奈やモデルの市川紗耶、アイドルグループ私立恵比寿中学の元メンバーでYouTuberとして活動する廣田あいかなど若い女性芸能人が鉄道を好きと公言するようになったことetc……

 いくつもの要因が重なって、鉄道ファンの裾野は広がった。その一方、鉄道ファンによる迷惑行為もあちこちで報告されるようになった。

 迷惑な鉄道ファンの中でも、特に鉄道を撮ることが好きな、いわゆる撮り鉄の評判がすこぶる悪い。同じ鉄道ファンの乗り鉄からも「撮り鉄は機材が多いから自動車で移動する。列車に乗らない。だから鉄道会社の経営にも貢献していない」と非難されることさえある。

 当たり前の話だが、マナーが悪いと指弾される撮り鉄は一握りにすぎない。大半はマナーを守って撮影を楽しんでいる。

 一部の悪行が流布することによって、撮り鉄全体のイメージは著しく毀損している。高まる撮り鉄への非難に対して、鉄道業界やカメラ業界はマナーアップに取り組む。そうした業界内にあって、特にマナーアップに力を注いでいるのが老舗カメラ雑誌『アサヒカメラ』だ。

『アサヒカメラ』はカメラ雑誌では異色の存在で、技術だけではなく、マナー問題も積極的に記事化。啓発や注意喚起をつづけてきた。特に反響が大きかったのは、2年前の鉄道特集号で、撮り鉄のマナーアップを目指す “嫌われない「撮り鉄」になるために!”という記事を掲載したことだった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段通りの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
《名誉毀損で異例逮捕》NHK党・立花孝志容疑者は「NHKをぶっ壊す」で政界進出後、なぜ“デマゴーグ”となったのか?臨床心理士が分析
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
昨年8月末にフジテレビを退社した元アナウンサーの渡邊渚さん
「今この瞬間を感じる」──PTSDを乗り越えた渡邊渚さんが綴る「ひたむきに刺し子」の効果
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
「秋らしいブラウンコーデも素敵」皇后雅子さま、ワントーンコーデに取り入れたのは30年以上ご愛用の「フェラガモのバッグ」
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
クマによる被害が相次いでいる(getty images/「クマダス」より)
「胃の内容物の多くは人肉だった」「(遺体に)餌として喰われた痕跡が確認」十和利山熊襲撃事件、人間の味を覚えた“複数”のツキノワグマが起こした惨劇《本州最悪の被害》
NEWSポストセブン
近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン