黒川弘務・東京高検検事長(時事通信フォト)

 そこで安倍首相は黒川検事長の「定年延長」という前代未聞の閣議決定に踏み切った。なぜ、そこまでしなければならなかったのか。検察情報に詳しいジャーナリスト・伊藤博敏氏が語る。

「官邸が危機感を強めたのは安倍首相にも菅義偉官房長官にも近い河井夫妻に対する検察の家宅捜索だったとみていい。事件はウグイス嬢に法定限度を超える報酬を払ったという公選法違反容疑だが、捜査の過程で自民党本部から河井夫妻に合わせて1億5000万円が支払われていたことが発覚した。これが官邸を刺激した可能性が高い」

 この1億5000万円は自民党内にも衝撃を与えた。

「新人候補への選挙支援にしては巨額すぎる。総裁の決裁がなければ出せる金額ではないし、短い選挙期間に使い切れる金額でもない。いったい、何の目的で渡されたカネだったのか」(自民党選対役員経験者)

 金の流れ先が注目されているのだ。前出の伊藤氏が言う。

「検察は当然、河井夫妻の政治資金の流れ先も調べている。官邸はその使途についてこれ以上捜査でつつかれたくないから、閣議決定までして黒川氏の定年を止め、検事総長のレールに乗せることで捜査に介入させる必要があったのではないか」

 安倍首相は検察に“1億5000万円の闇”を明らかにされるのをなんとしても阻止する必要があったという見方である。

※週刊ポスト2020年2月21日号

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