◆国際線勝負には幾多の「高い関門」

 スカイマークは再上場を機に、さらに国際線で勝負に出ようとしている。目指すは欧米路線だが、課題も多い。

 国内線はボーイング377-800型機(177席)を使用しているが、欧米路線の実現には、360席以上の中大型機の新たな調達が必要になる。その資金を確保するために株式を再上場し、直接金融でマーケットから資金を吸い上げることにした。

 国際線を視野に入れているSKYは新たな航空機として米ボーイング社の小型旅客機「737MAX」の導入を検討していたが、墜落事故によって同機の運航は停止となった。後継機の選定は難航している。

 サイパン便とパラオ便を大手2社が運航してないのは「儲からない路線」(関係者)と言われているからだ。パラオは親日国。政府はたびたび大手2社に定期便の運航を求めてきたが、2社とも乗り気ではなかった。SKYがサイパン便、パラオ便に参入したのは、羽田空港国内線の増枠を認めてもらうための布石。SKYと国交省の「ギブ・アンド・テーク」といった辛らつな見方も業界内にはある。

 元航空局長の洞駿氏がスカイマークの天下り社長に就任したのは、経営手腕への期待だけでなく、狙いは明々白々だ。政府の要請で、儲からないサイパン便とパラオ便を引き受けた見返りに、「羽田空港国際線の増枠に、(スカイマークを)最優先で加えてほしい」との意思表示である。

 羽田空港の国際線の発着枠拡大に向け、国交省は2月2日、3月29日から運用する新たな飛行ルートのうち、東京都心を低空で通過するルートの飛行試験を初めて実施した。飛行試験は、南風が吹く状況で羽田空港に着陸するルートが対象。午後4時20分ごろから同6時ごろの間、品川区や渋谷区などを超低空で飛行した。

 新ルートに関しては、江戸川区と江東区を飛ぶ北風時のルートの飛行試験が1月30日に初めて行われた。国交省は3月11日までに北風と南風のルートの飛行試験を各7日間実施する。騒音や落下物の懸念から住民の間に反発があり、同省は試験を重ねることによって理解を求めたいとしている。

 新ルートのテスト飛行以上に、国際線事業の拡大を目指すSKYの先行きは、不透明な要素も大きい。果たして「天下り組を社長にしてよかった」となるのか──。

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