今の芸人のネタは昔と比べるとレベルが上がっていると言われる。ナインティナインの岡村隆史が「今芸人を始めたとして売れる自信がない。ネタのレベルが高過ぎる」とラジオで語っていた。最近はインターネットでいくらでもネタを見ることができ、他と同じようなネタにならないようにしていくうちに若手のネタはどんどんと技術が上がってきている。

 一方、最近ではテレビでネタを披露できる番組も減っているので、自分の特技や趣味を活かそうと考える芸人も増えている。これも他と被ってはいけないので隙間を探さなくてはならない。しかし、隙間を見つけたからと言ってもそれがハマるとも限らない。一度誰かがその隙間に入っており、挑戦したがダメだったから隙間になっていたということもある。ニッチ過ぎてもいけないのだ。

 そこをうまくやっていると言われるのが、アンジャッシュの渡部建である。渡部は趣味である食べ歩きや高校野球観戦などを、着実に仕事に繋げている。特に食レポや野球関連はライバルが多いジャンルにもかかわらず、渡部は今までとは違う視点から隙間に入り込んでいる。たとえば高校野球は多くの人が選手に注目する中、渡部はスタンドで応援している部員や中学生の選手に注目するなど、目の付け所を変えて勝負している。

 芸人の世界ではすでに様々なアイデアで勝負されているが、そんな中でもまだ隙間は存在するだろう。その隙間をいかに人より早く見つけて世に出すかが、今後の芸人人生を左右する。どんな隙間から新しい芸人が出てくるのか、今後が楽しみである。

◆文/矢口渡(芸人ライター)

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