国内

41歳元保育士男性が語る「罰ゲームのような人生」の要因

「子どもが好き」というにも覚悟がいる?(写真はイメージ)

「子どもが好き」というにも覚悟がいる?(写真はイメージ)

 男は黙って中味で勝負、なんていうのは建前だ。ネットでは「イケメン無罪」だの「ただしイケメンに限る」だの、男もルックスがよいと何でもうまくいくと言われている。とはいえ、ルックスで劣る者を平気で蔑む言動は現実世界では避けられている。ところが、それを隠さない世代に属するのが団塊ジュニアやポスト団塊ジュニア世代だろう。理不尽な仕打ちに鬱屈させられることが多かった彼らを「しくじり世代」と名付けたのは、『ルポ 京アニを燃やした男』著者の日野百草氏。今回は、みずからを「KKO(キモくて金のないおっさん)」だと称する41歳元保育士男性についてレポートする。

 * * *
「僕は子どもが大好きなんです」

 北関東の巨大ショッピングモール、内藤豊さん(41歳・仮名)はキッズコーナーで遊ぶ子どもたちを眺めながら、にこやかにつぶやいた。

「変な意味じゃないんですけど、誤解されますよね」

 今日は2月14日のバレンタイン、恋人同士が愛を確かめ合うこの大事な日に、私は内藤さんとキッズコーナーの飲食スペースにいる。女児向けカードゲームのポップな音楽と声優のキャンディボイスが響く中、おっさん二人が話し込む光景、なかなかの地獄だ。今回の取材は、ある同人イベントで知り合ってからつきあいがある内藤さんからの申し出だった。

「見かけだけで判断される世の中って何なんでしょうね、さっき言った『僕は子どもが大好きなんです』って言葉、イケメンが言うと優しい子ども好きになるでしょ、でも僕が言うと事案になるんです」

 事案とは、事件や事故とまではいかないが、警察や行政が注意を払うべき不穏な事象のことだ。イケメンなら問題にされないのに、内藤さんだと不穏な出来事だとされてしまうという。確かに内藤さんはイケメンではない。子供のころのあだ名は『ドラゴンクエスト』シリーズの「ばくだんいわ」で、他にもありとあらゆるキモキャラの名をつけられた。20世紀の子どもは容赦ない。親や教師まで平気で子どもの容姿をあげつらった。そんな被害者の内藤さん、今では頭髪も薄くなり、ますます「ばくだんいわ」に近づいたが、身ぎれいにしておしゃれには気を使っているという。確かにチビデブの体型ながら、上手なセレクトでまとめている。コーディネートとセンスは悪くない。オタクとしては上出来だ。

「キモオタって言われたくないから気を使ってますよ。母親が選んだ服とかじゃなく、ちゃんと自分で買ってます」

 しかし内藤さんの努力も虚しく、世間の風は冷たいそうだ。

「キモいってだけで理不尽な濡れ衣を着せられて、仕事を辞めさせられたこともあります。10年も前の話ですが……そんなの信じられます?」

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン