男性保育士にとって一番怖いことは……

男性保育士にとって一番怖いことは……

◆保育は天職だと思っていたのに

 内藤さんは幼少期から容姿に関してひどい扱いを受けることが多かったという。私も15歳から尋常性乾癬で若いころはフケだらけと間違われたり頭皮の赤みの拡大、奇妙なかさぶたに悩んだりしたので気持ちはわかる。マイナーな病気だが、近年では道端アンジェリカが告白して知られるようになった。幸い歳を取るにしたがって症状が改善され、今ではほとんど消えてしまったが(尋常性乾癬は年齢とともに寛解することがある)、そうでない人は本当にかわいそうだ。ましてや容姿そのものや遺伝的要素の強い若ハゲを理由に蔑まれても、それは治しようがない。

「僕は犯罪者扱いされました。いい大人が根拠もなくそんなことをするはずがないと思われるかもしれませんが、本当にヤバい親はヤバいんです。親になるのに免許はいりませんからね。キモい先生呼ばわりは子どもより、むしろ親のほうが多かった」

 そして内藤さんは、女児に対するいわれなき疑いを保護者からかけられたのだという。にわかに信じがたいが、警察沙汰寸前にまで追い込まれた。

「男性保育士にとって一番怖いのはそういう扱いをされることです。ネットでよく男性保育士はそっち方面のネタにされますが、リアルでそれでは人生終わります。そういう事件が起きるたびに、まともな男性保育士は怯えています」

 園も長く勤めた内藤さんがそんな人ではないことは百も承知だっただろう。最初のうちは庇ってくれたが保護者は大事な客でもある。退職を促され、そのまま園を辞めた。

「安い給料で子どもたちのために尽くしてきたのに理不尽ですよ。保育は天職だと思ってたのですが」

 保育士の給料は安い。厚生労働省の「平成29年賃金構造基本統計調査」によれば保育士の平均年間給与は342万1千円で、平均年齢は35.8歳、平均勤続年数は7.7年だという。全職種と比べて150万も低い。平均年齢も勤続年数も低く、多くが早いうちにドロップアウトしていることがわかる。それもこれも日々の激務や保護者の対応、子供の安全面などのストレスに比しての給料の安さに起因している。実家住まいや結婚して配偶者の扶養、もしくは共働きなら続けられるかもしれないが、一家の大黒柱となるのは不可能だろう。それに加えて男性保育士には内藤さんが受けたような「逆差別」とも言える様々な問題が山積みだ。

「天地神明に誓って変なことはしてません。大事な子どもにそんなことするわけがないし、そんな男ならとっくにバレてますよ」

 私も内藤さんはそんな人ではないと思う。この一件について、内藤さんは自分の容姿のせいだと訴える。

「僕がブサイクでキモいからなのは確かでしょう。でもキモいおじさんだからなんて扱いあんまりですよ。僕だって生きている人間です。社会が平等じゃないのは百も承知ですけど、ブサメンには人権もないんですかね」

 内藤さんに一度貼られたレッテルは剥がせなかった。ましてや一歩間違うと事件化されてしまうような事案である。事が事だけに簡単ではない。

「同僚の女性保育士も手のひらを返して冷たくなりました。悲しかったです」

 保育は女性の世界、ただでさえ肩身の狭い男性保育士がそうなったら庇い立てする人などいないだろう。ましてや同僚には男性もいたが、若い彼らは女性以上に冷たかったという。

「仕方ないですね、立場弱いですから。味方してとばっちりも嫌でしょう」

関連記事

トピックス

バラエティー番組『孝太郎&ちさ子 プラチナファミリー 華麗なる一家をのぞき見』
コシノ三姉妹や石原4兄弟にも密着…テレ朝『プラチナファミリー』人気背景を山田美保子さんが分析「マダム世代の大好物をワンプレートにしたかのよう」
女性セブン
“アンチ”岩田さんが語る「大谷選手の最大の魅力」とは(Xより)
《“大谷翔平アンチ”が振り返る今シーズン》「日本人投手には贔屓しろよ!と…」“HR数×1kmマラソン”岩田ゆうたさん、合計2113km走覇で決断した「とんでもない新ルール」
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン