ビジネス

臨時休校に伴う企業の無償支援、今までの施策と何が違うのか

『ひみつ×戦士ファントミラージュ!』(『ぷっちぐみ』HPより)

 小中高校の臨時休校で、企業が子供たちのためにサービスを「無償提供」する支援が広がっている。Z会はオンライン学習サービスの一部を無料公開。ワタミは、弁当を無料で宅配、ローソンは学童におにぎり3万個の無償提供を決めた。出版界では、小学生女児向けの雑誌『ぷっちぐみ』が発売中の雑誌企画の無料公開をいち早く始め、『コロコロコミック』など複数の漫画雑誌も無料公開している。企業による今回の無償支援は、災害時などに行われてきたこれまでの施策とどこが違うのか? ネットニュース編集者の中川淳一郎さんが解説する。

 * * *
 今回の臨時休校に伴う各企業の施策には、ネット上では「ありがたい」「子供も親も助かる!」など多くの感謝の声が上がっています。なぜ、多数の支持を集めたのでしょうか。それを述べる前に、過去のこうした「無償支援」について振り返ってみます。

 企業が何かを無料で提供するものの元祖といえば、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などの災害が頭に浮かびます。しかし、ネットが爆発的に広がる前の話だったため、あまり記憶にない人が多いかもしれません。SNSが普及してからの企業や個人による物資等の無償提供は、東日本大震災の時も多くありました。しかし、この時は感謝の声は上がったものの、個人が古着や生鮮食品を送ったり、本当に必要な場所に物資が届かなかったりしたため、現地のボランティアが困ってしまうような事態にもなりました。

 だからこそ、送る側としても適切な物資を適切な量、適切な場所に送る必要が出てきます。ネットでは「善意の押し付け」としてむしろ叩かれてしまうこともある。それの最たるものが「千羽鶴」です。「燃やすぐらいしか使いみちがないだろう」といった声が書かれるほか、困っている人からは「こんなものよりも水がほしい」などの声が出てきます。

 その点、今回の各企業の施策は、不安を感じている保護者や子供に対して、ピンポイントで支援を行っていると思います。長時間、自宅で待機しなければならない子供にマンガや学習教材、学童に食事提供など、必要なところに必要なものが届けられていると言えます。

 また、出版社が行っているインターネット上での雑誌や書籍の無料公開は、輸送代などがかかる施策と違って、多くの人の手間をかけずに、自社を中心に行っている点は特に評価できます。善意での支援というのは、他の人の手をかけずに行うのが基本ですから。

関連キーワード

関連記事

トピックス

愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
羽生結弦が主催するアイスショーで、関係者たちの間では重苦しい雰囲気が…(写真/AFLO)
《羽生結弦の被災地公演でパワハラ告発騒動》アイスショー実現に一役買った“恩人”のハラスメント事案を関係者が告白「スタッフへの強い当たりが目に余る」
女性セブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
『ここがヘンだよ日本人』などのバラエティ番組で活躍していたゾマホンさん(共同通信)
《10人の子の父親だったゾマホン》18歳年下のベナン人と結婚して13年…明かした家族と離れ離れの生活 「身体はベナン人だけど、心はすっかり日本人ね」
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン